自分でできる雨漏り調査の方法と注意点|失敗しないための完全ガイド
雨漏りは放置すると、建物の構造部分に深刻なダメージを与え、修理費用も大きく膨らんでしまいます。
しかし、「業者に頼む前に自分で原因を調べたい」という方も少なくありません。実は、基礎知識と適切な手順を知っていれば、初心者でも雨漏り調査を行うことは可能です。
この記事では、自分で雨漏り調査をする際に必要な準備や手順、注意点やプロに頼るべき判断基準について詳しく解説します。
雨漏り調査を自分でする前に知っておきたい基本知識

雨漏りの調査を始める前に、まずは「どこから水が入るのか」「なぜ目視だけでは原因が特定できないのか」といった、基本的な知識を理解しておきましょう。
雨漏りの主な原因とは
雨漏りの原因は、屋根の瓦やスレートの破損だけでなく、外壁のひび割れ、窓まわりのコーキングの劣化など多岐にわたります。
国土交通省が公開する「住宅の維持管理マニュアル」によると、雨漏りの進行要因には以下のようなものがあります。
・屋根材の破損やズレ(スレート、瓦など)
・外壁のクラック(ひび割れ)やコーキング材の劣化
・サッシ周辺や換気口、バルコニーなどの防水不良
一見すると外から水が入りそうに見えない場所でも、内部の断熱材や構造体をつたって水が回り込んでくることがあるため、注意が必要です。
室内の雨染みだけでは原因は特定できない
天井に雨染みがあったからといって、その真上が必ずしも原因とは限りません。
雨水は建物内部の柱や梁、配線経路などをつたって移動するため、染みが出ている場所と実際の浸入口が全く違うケースも多いのです。
雨漏りの実例として「2階バルコニーの防水不良が、1階天井の染みとして現れたケース」などがあります。
そのため、自分で調査をする場合は、染みのある場所だけでなく、屋根、外壁、窓まわり、ベランダなど幅広く確認する必要があります。
散水調査との違いを理解する
専門業者がよく行うのが「散水調査」と呼ばれる方法です。これはホースで水をかけながら雨漏りの再現を試み、侵入口を特定する方法です。
しかし、この方法は単純そうに見えて非常に難易度が高く、間違った場所に水をかけても再現できないこともあります。
正確な順序で限定的に水をかけていく必要があり、場合によっては建物を傷めるリスクもあるため、散水調査は原則としてプロに任せるのが安全です。
自分で調査をする際は、まずは目視による確認を中心に行い、状況が複雑な場合は専門業者に依頼しましょう。
雨漏り調査を自分で行うメリットとデメリット
雨漏り調査は専門業者に依頼するのが一般的ですが、自分で調査を行うことでコストを抑えたり、緊急時に迅速に対応できるというメリットもあります。
しかしその一方で、調査が不完全だった場合に被害が拡大したり、誤った判断で逆効果になるケースもあるため、メリット・デメリットをしっかり理解しておくことが重要です。
調査費用を節約できる
雨漏り調査を業者に依頼した場合、内容にもよりますが、数万円〜十数万円かかることが一般的です。特に散水調査や赤外線調査など、特殊な調査方法が必要になると費用が高くなります。
自分で目視点検をすることで、まずは原因のあたりをつけることができれば、業者に依頼する範囲を最小限に抑えることができます。
また、日常的な点検や初期対応は自分で行うことで、雨漏りの兆候を早期に発見しやすくなり、結果的に修繕費の節約にもつながります。
発見が遅れるリスクがある
自分での調査には限界があります。建物内部の構造や水の流れを理解していないと、実際の侵入口を見落とす可能性があります。
原因の特定が不十分なまま放置してしまうと、雨漏りが進行して構造体を腐食させたり、カビやシロアリの原因になるなど、深刻な二次被害を招くこともあります。
調査に時間がかかるうちに被害が拡大してしまうケースもあるため、調査結果に自信がない場合は専門業者への早期相談が賢明です。
誤った修理で被害が拡大することがある
自分で調査した結果、DIYで修理を試みる方もいますが、適切な材料や施工方法を理解していないとかえって被害を広げてしまうこともあります。
たとえば、外壁のひび割れに防水テープを貼るだけでは、雨水の侵入を完全には防げません。また、誤ったコーキング材を使ったことで内部に水がこもり、かえって湿気が抜けずに劣化を早めてしまうケースも報告されています。
雨漏りは表面的に見えている部分よりも、内部の構造に深く関わっていることが多いため、自己判断による修理は慎重に行う必要があります。
雨漏り調査を自分でするために必要な道具と準備

雨漏り調査を安全かつ効果的に行うためには、適切な道具を準備することが大切です。特に高所作業や暗所での確認には、専用の機材があると安心です。
懐中電灯・ヘッドライトを用意する
屋根裏や天井裏の確認は、照明が届かない暗所になることが多いため、明るい懐中電灯や両手が使えるヘッドライトがあると便利です。
光量が足りないと、小さな雨染みやカビなどの初期サインを見逃す可能性があるため、LEDタイプの明るいライトを使用するのがおすすめです。
また、調査中に落下物やくずが落ちることもあるため、ヘッドライトを装着することで両手が自由になり、安全性も向上します。
メジャーとメモ帳で位置を記録する
雨染みやひび割れを見つけた場合、その場所を正確に記録することが重要です。
メジャーでの距離測定や、部屋のどの位置に異常があったかをメモ帳に記録しておくことで、後から専門業者に相談する際にも情報共有がスムーズになります。
スマホで写真を撮っておくのも有効で、後日の経過観察や、被害範囲の変化の確認にも活用できます。
赤外線サーモグラフィーカメラがあると便利
赤外線カメラは、目に見えない雨水の通り道や断熱材の濡れを視覚的に確認できる機器です。
温度差を可視化することで、水が侵入している箇所をある程度特定することができます。家庭用の安価なモデルも販売されており、スマートフォンに接続するタイプもあります。
ただし、正しい知識がないと読み取りミスの可能性もあるため、あくまで目視確認の補助として使うのが良いでしょう。
足場や安全装備(ヘルメット・滑り止め手袋など)を準備する
屋根や高所での調査を行う場合は、安全対策が最も重要です。ヘルメットや滑り止め付き手袋、安全靴、作業用ハーネスなど、基本的な装備を用意しましょう。
また、はしごを使う場合は、しっかりと固定されていることを確認し、滑り止めマットを使うなど安全対策を徹底してください。
少しの油断が大きな事故につながることもあるため、少しでも不安がある場合は無理せず、業者に依頼する判断も必要です。
初心者でもできる雨漏り調査を自分でする手順
雨漏り調査は専門的な技術が必要な場面もありますが、日常的な点検や初期対応であれば、初心者でも行える手順があります。
ここでは、特別な道具を使わずに行える目視確認の手順を紹介します。
屋根裏や天井裏の雨染みを確認する
雨が降った後、屋根裏や天井裏に入って確認するのが基本です。雨染みがある場所は、屋根材の下や断熱材の表面に変色やカビ、湿気などの形で現れます。
特に注意すべきポイントは、梁や柱の接合部分、換気ダクト周辺、電気配線が集中している場所です。
乾いたように見えても、雨のたびに少量ずつ漏れているケースもあるため、雨の直後に確認するのが最も効果的です。
窓まわりや換気口まわりを目視点検する
窓枠の下側やサッシの角、換気口の周囲などは、雨水が浸入しやすい弱点です。
コーキング材のひび割れや剥がれがないか、ゴムパッキンが劣化していないかをよく確認しましょう。
YKK APの資料によれば、窓まわりのシーリング劣化は10年を目安に再施工が必要とされています。
また、網戸の隙間やサッシの排水機能が詰まっている場合にも、内部に雨が浸入する可能性があります。
外壁のひび割れ・コーキングの劣化を確認する
外壁に髪の毛ほどの細いひび(ヘアクラック)でも、そこから水が侵入してしまうことがあります。
特にモルタル壁やサイディング外壁は経年劣化が進むと、コーキング部分が硬化・ひび割れしやすくなります。
建築研究所の報告では、外壁のシーリングは7〜10年で再施工が推奨されています。
コーキングが痩せ細っていたり、剥がれて下地が見えている場合は、すぐに対処が必要です。
ベランダやバルコニーの排水口を確認する
ベランダやバルコニーの排水口が詰まっていると、水が溜まりやすくなり、床面の防水層に負担がかかります。
排水口に落ち葉やゴミが詰まっていないか、排水の流れがスムーズかを確認してください。
また、手すりの支柱部分の取り合いなど、防水処理が不十分な箇所からの漏水も報告されています。
手すり周囲や壁との接合部なども、念入りにチェックしましょう。
屋根や壁の雨漏り調査を自分でする際のチェックポイント

屋根や外壁などの高所を調査する際は、事故のリスクもあるため、事前準備とチェックポイントの把握が重要です。
以下に、各部位ごとの具体的な確認ポイントを紹介します。
スレート屋根の割れやズレを探す
スレート屋根は薄い板状の屋根材で、紫外線や風雨によって割れやすくなります。
目視で確認できる範囲で、ヒビ・欠け・重なりのズレなどをチェックしましょう。
特に谷部分や軒先、屋根の端などに破損があると、雨水が集中して浸入する原因になります。
屋根材の下には防水シート(ルーフィング)がありますが、これが劣化していると雨漏りが発生しやすくなります。
瓦屋根の漆喰の剥がれを確認する
瓦屋根の場合、瓦自体は防水性がありますが、固定や隙間を埋めるための「漆喰」が重要な役割を担っています。
この漆喰が剥がれていたり、ひび割れていると、雨水が内部に浸入しやすくなります。
特に棟瓦(むねがわら)と瓦の接合部の漆喰は、10年を目安に点検・補修が必要とされています。
また、ズレている瓦は風によって飛ばされる危険もあるため、早めの対応が望ましいです。
外壁の目地コーキングの劣化をチェックする
サイディングなどパネル型の外壁材では、パネル同士の接合部に施されているコーキング(シーリング)の劣化が雨漏りの大きな原因になります。
コーキングが痩せていたり、ひび割れていると、そこから雨水が侵入し壁内部に回り込みます。
コーキング材の耐用年数は10年前後が一般的で、紫外線や熱により硬化し、弾力性が失われます。
柔らかさがなくなっている場合や、剥離が見られる場合は早急に打ち直しが必要です。
サッシ周辺のシーリング切れを確認する
サッシと外壁の取り合い部分も、雨漏りのリスクが高い箇所です。
この部分のシーリングが切れていたり、浮いていると、風雨が吹き込んだ際に内部へ浸水してしまう可能性があります。
特に南側や西側の外壁は日差しや雨の影響を受けやすく、劣化が進行しやすいため、重点的に確認しましょう。
また、サッシの下端の水切り機能が正常に働いているかも合わせて確認が必要です。
雨漏り調査を自分で行うときの注意点とよくある失敗
自分で雨漏り調査を行う場合、安全面や判断ミスに注意しなければなりません。
ここでは、よくある失敗や避けるべき行動をまとめました。
濡れた屋根に上がるのは危険
雨漏りが発生している状況では、屋根材が濡れて非常に滑りやすくなっています。
素人が屋根に上がるのは大変危険で、特にスレート屋根や金属屋根では滑落事故が多く報告されています。
雨の後すぐに調査したい気持ちはわかりますが、十分に乾いた状態で、安全装備を整えてから行動することが鉄則です。
原因を1か所と決めつけてしまう
雨漏りは複数の要因が重なって発生することがあります。
たとえば「外壁のひび割れ」と「サッシのシーリング切れ」が同時に関与しているケースなどもあります。
ひとつの箇所だけに原因を限定してしまうと、一部しか修理されず、再発する原因になってしまいます。
広い視点で建物全体を確認することが重要です。
誤った補修材を使ってしまう
ホームセンターなどで市販されている防水テープや補修スプレーは、応急処置として使える場合もありますが、長期的な効果は限定的です。
たとえば、外壁用ではないコーキング材を使った場合、耐候性が不十分で短期間で劣化することがあります。
補修材は使用する場所や素材に適したものを選ぶ必要があり、誤った施工はかえって被害を広げてしまうこともあります。不安がある場合は、応急処置の範囲にとどめ、早めに専門家へ相談しましょう。
強風時や豪雨の中で作業しない
風雨の強いときは、安全性が著しく低下します。屋外での作業は、転倒・落下・感電など重大な事故に直結します。
また、雨の中では正確な調査も困難になるため、安全かつ確実な確認のためには、天候の回復を待ってから行動することが大切です。
無理な作業をせず、安全第一で行動しましょう。
雨漏り調査を自分でするのが難しいケースと業者への相談タイミング

雨漏り調査を自分で行うことで、軽微な症状や初期段階の異常を発見できる場合もありますが、すべてのケースで自己対応が適しているわけではありません。
特に構造が複雑な住宅や高所の調査が必要な場合は、専門業者への相談を検討すべきタイミングです。
屋根に登れない・危険な場所にある場合
二階建て以上の住宅や、勾配の急な屋根、滑りやすい屋根材が使用されている住宅では、安全面から屋根に登っての調査は極めて危険です。
はしごが不安定だったり、作業スペースが狭い場所では転倒・落下のリスクも高くなります。
安全装備を整えてもなお危険が伴うと感じた場合は、無理せずプロの業者に依頼しましょう。
雨漏りの場所が複数ある場合
1か所ではなく、複数の部屋や階層で雨漏りが見られる場合は、建物全体に潜んでいる劣化や構造的な問題がある可能性があります。
このようなケースでは、断熱材の腐食や通気層の問題など、外部からは確認できない内部構造に雨水が回っている可能性もあるため、自力での対応は難しくなります。
精密な調査を行える専門業者に診断を依頼しましょう。
何度直しても再発する場合
雨漏りを一度修理しても、数か月後や次の大雨で再び症状が現れる場合は、根本的な原因が特定されていない、あるいは修理の方法に問題がある可能性があります。
このように雨漏りが再発するケースでは、赤外線調査や散水調査など、専門的な技術が必要になることが多く、再修理を繰り返すことで余計に費用がかさむリスクもあります。
信頼できる業者にしっかりと調査してもらい、根本原因から対処してもらうことが重要です。
見積もり・現地調査が無料の業者に相談する
多くの住宅修理業者では、初回の現地調査や見積もりを無料で行ってくれます。まずは相談だけでもしてみることで、自分では気づかなかった異常や、適切な修理方法の提案を受けられることがあります。
インターネット上で複数業者の口コミや実績を比較し、実際に相談して信頼できるかどうかを判断するのが良いでしょう。
強引な契約を迫る業者は避け、「現地調査後に見積書をしっかり出してくれる業者」を選ぶのがポイントです。
雨漏り診断士が在籍する業者に依頼する
「雨漏り診断士」とは、NPO法人 雨漏り診断士協会が認定する資格で、雨漏りに関する専門知識と実務経験を持った技術者に与えられます。
この資格を持つ診断士が在籍する業者であれば、原因の特定から適切な修理方法まで、一貫して対応できる可能性が高くなります。
再発のない根本的な解決を目指すのであれば、専門資格を有する診断士が対応する業者に相談するのが安心です。
協会の公式サイトには、地域別に診断士在籍業者の検索機能もありますので、参考にしてください。
まとめ|雨漏り調査を自分で行う方法と注意点のポイント
この記事では、雨漏り調査を自分で行う方法から、必要な道具、安全対策、調査手順、注意点、そして専門業者に依頼すべきタイミングまでを詳しく解説しました。
最後に重要なポイントを振り返っておきましょう。
基本を押さえれば自分でも調査は可能
雨漏り調査は、適切な道具と正しい知識、安全な手順を踏めば、初心者でもある程度の調査が可能です。
特に、屋根裏や窓まわり、外壁のひび割れやコーキングの劣化など、目視で確認できるポイントを押さえるだけでも、初期段階での異常発見につながります。
日常的なセルフチェックを習慣にすることで、建物の劣化を未然に防ぐことができます。
無理せずプロに頼ることも選択肢のひとつ
とはいえ、危険な場所への立ち入りや、複雑な原因が疑われる場合には、無理をせずプロに任せることも大切です。
特に、再発している雨漏りや、構造上の問題が絡んでいると判断される場合は、専門業者による徹底調査と修繕が不可欠です。
安全第一で行動することが、結果的に最も効率よく、長期的に建物を守る方法であると言えるでしょう。
この記事を参考に、まずは自分でできる範囲での確認を行い、必要に応じて信頼できる専門家に相談してみてください。
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