瓦屋根の雨漏りにコーキングしてはいけない理由と危険性

瓦屋根で雨漏りが起きると、つい「コーキングを使って自分で補修しよう」と思ってしまう方も多いでしょう。しかし、それは逆効果になることもある危険な行為です。
この記事では、瓦の雨漏りにコーキングを使ってはいけない理由と、実際に起こるトラブル、そして正しい修理方法までを丁寧に解説していきます。
大切な家を守るために、間違った知識での修理は避け、正しい知識を身につけましょう。
瓦の雨漏りにコーキングを使うのはなぜ危険なのか?

瓦の雨漏りにコーキングを使うことは、むしろ雨漏りを悪化させてしまう可能性が高いです。以下では、その理由を詳しく解説していきます。
通気性を失って湿気がこもる
瓦屋根はもともと、風通しがよく湿気がたまりにくい構造になっています。瓦と瓦の間にわずかな隙間があることで、湿気や熱が外に逃げやすくなっているのです。
しかし、その隙間にコーキングをしてしまうと、空気の流れが止まり、屋根内部に湿気がこもる原因になります。
湿気がこもると木材が腐りやすくなり、家の寿命を縮めてしまう可能性があります。
屋根は「呼吸している」とも言える存在なので、無理に密閉するのは避けるべきです。
水の出口を塞いで雨漏りが悪化する
雨は、どんな屋根でも多少は内部に入り込みますが、それがすぐに排出される構造になっていれば問題ありません。
瓦屋根は「雨仕舞い(あまじまい)」という考え方で、水の通り道が設計されています。
コーキングを間違って使うと、その水の逃げ道をふさいでしまい、雨水が屋根内部にとどまってしまいます。
その結果、雨漏りが悪化し、天井や壁にシミやカビができるなどの被害が広がります。
コーキングがすぐ劣化する素材
コーキング材は紫外線や雨風にさらされると、2〜5年程度で劣化してしまいます。
特に瓦屋根のように、日差しや風雨が強く当たる場所では、コーキングの寿命は非常に短くなります。
ひび割れたり、剥がれたりすれば、そこから水が入り込み、最初よりも大きな雨漏りの原因になってしまいます。
短期間で繰り返し修理する必要が出てくるため、費用も手間もかかります。
地震の際に瓦が落ちなくなる
瓦屋根をコーキングで固定すると、地震などの災害時に瓦が動かず、衝撃をうまく逃がせなくなります。瓦は本来、落下することで建物への負担を軽減する設計です。コーキングによりその機能が失われ、かえって建物全体の被害が大きくなる恐れがあります。
応急処置にはなっても根本的な解決にならない
確かにコーキングは手軽に使えるので、応急処置には向いているかもしれません。
しかし、コーキングだけで雨漏りが完全に止まることはほとんどなく、一時的に雨を防げても、根本的な原因が解決されていなければ再発します。
特に、屋根の下地が劣化していたり、瓦の下の防水シートが破れている場合には、コーキングだけでは不十分です。
本当の意味で家を守るためには、正しい修理が必要です。
瓦の雨漏りにコーキングをすると起こるトラブル
コーキングを使用したことで実際に起こりうるトラブルについて見ていきましょう。
雨水の逃げ場がなくなり内部に浸水する
瓦屋根にはもともと雨水を排出する設計がありますが、コーキングをすることでその流れが止まり、屋根の内側に水がたまってしまうことがあります。
すると、防水シートや野地板(のじいた)に水がしみ込み、浸水被害が広がります。
その結果、天井にシミができたり、雨音が家の中まで響くようになったりします。
屋根内部の木材が腐る
浸水が続くと、屋根の構造材である木材が湿気で腐りやすくなります。
腐食が進むと、屋根の強度が落ち、台風や地震などの自然災害にも弱くなります。
最悪の場合、屋根の一部が落ちるなど重大な事故につながる可能性もあります。
雨漏りが小さいうちに正しく対処することが大切です。
屋根下地にカビが発生する
湿気が多い状態が続くと、屋根の内部にカビが発生します。
カビは見えない場所で広がるため、発見が遅れがちです。
健康被害(アレルギーや呼吸器疾患)にもつながる可能性があり、特に小さな子どもや高齢者がいる家庭では注意が必要です。
見た目ではわからない問題こそ、早めの対処が必要です。
再修理の費用が高額になる
最初に適切な修理をしていれば、数万円で済んだものが、コーキングによる誤った修理のせいで数十万円になることもあります。
屋根の内部までダメージが広がると、大規模な修理が必要になり、葺き替え(ふきかえ)などの高額工事になることも。
安易なコーキングが、結果として高い出費につながるリスクがあります。
将来のためにも、正しい判断をすることが重要です。
瓦屋根の雨漏りにコーキングが逆効果になる理由

コーキングは一見便利に見えますが、瓦屋根の仕組みに合っていないため、使い方を間違えると逆効果になります。ここではその理由を詳しく見ていきましょう。
雨仕舞いの構造を無視してしまうから
瓦屋根は「雨仕舞い」と呼ばれる、雨水を効率的に外へ流す設計がされています。
この雨仕舞いの構造は、瓦の重なり方や勾配によって自然と雨水を排出するようになっています。
ところが、コーキングを使って隙間をふさいでしまうと、この自然な排水構造が機能しなくなります。
雨水が排出されずに内部にたまり、かえって雨漏りを悪化させることになるのです。
瓦の動きを妨げて破損の原因になるから
瓦は、風や地震などの揺れを吸収するために、少しずつ動くようになっています。
この柔軟な構造によって、屋根全体に力が分散され、瓦が割れにくくなっています。
しかし、コーキングで瓦をガチガチに固定してしまうと、力の逃げ道がなくなり、瓦が割れたり外れたりするリスクが高まります。
つまり、コーキングは瓦の本来の機能を損なってしまう可能性があるのです。
正しい施工個所を見極める知識が必要だから
瓦屋根には、「ここに補修を施せば良い」という場所と、「絶対に触ってはいけない場所」があります。
しかし、専門知識がないままコーキングをしてしまうと、触ってはいけない部分に手を加えてしまう危険があります。
例えば水の通り道をふさいだり、瓦の固定方法を壊してしまったりと、修理どころか破壊になってしまうこともあります。
こうしたリスクを避けるためにも、知識のあるプロに任せるのが安心です。
見た目では問題箇所が分かりにくいから
雨漏りの原因は、実際に見える場所にあるとは限りません。
屋根の上部から浸入した雨水が、別の場所に出てきてシミを作ることもあります。
そのため、「ここが濡れているから、ここをふさごう」といった判断は、まったくの見当違いであることもあります。
表面上だけを見て補修しても、根本的な原因にはアプローチできません。こうした点でも、プロの診断が重要になります。
瓦の雨漏り修理でコーキング以外におすすめの方法
では、瓦屋根で雨漏りが起きた場合、どのような方法で修理するのが適切なのでしょうか?以下では、信頼できる修理方法を紹介します。
瓦の差し替え修理
割れている瓦が原因であれば、その部分の瓦を新しいものに差し替えるだけで修理できることがあります。
この方法なら、雨仕舞いの構造を損なうことなく、簡単に補修ができます。
費用も比較的安く、1枚数千円程度で修理できる場合もあります。
ただし、同じ瓦が手に入らない場合や、下地が傷んでいる場合は、他の修理方法が必要です。
漆喰の補修
瓦屋根の棟(むね)部分にある漆喰が劣化していると、そこから雨水が入り込むことがあります。
この場合は、古い漆喰を撤去し、新しい漆喰を詰め直すことで雨漏りを防げます。
漆喰の劣化は、見た目では分かりにくいこともあるため、定期的な点検がおすすめです。
自分では判断しづらいため、業者に相談して確認してもらいましょう。
棟の積み直し
棟瓦がずれていたり、崩れている場合は、「棟の積み直し」という工事が必要になります。
これは、棟瓦を一度すべて取り外し、基礎から積み直す方法です。
施工には技術と時間が必要ですが、長期的な耐久性を考えると非常に効果的です。
特に地震の多い地域では、この修理方法が推奨されることが多いです。
屋根全体の葺き替え
瓦や下地が全体的に古く、劣化が進んでいる場合は、屋根全体を新しくする「葺き替え」が選ばれることもあります。
この場合、瓦だけでなく、防水シートや野地板も交換されるため、雨漏りの原因を根本から解決できます。
費用は高くなりますが、今後のメンテナンスがラクになるというメリットもあります。
築30年以上の屋根には、葺き替えを検討する価値があります。
防水シート(ルーフィング)の交換
瓦の下には「ルーフィング」と呼ばれる防水シートが敷かれています。
このシートが破れたり劣化したりすると、雨水が家の中まで入り込んでしまいます。
防水シートの交換は、屋根の表面ではなく内部の修理になるため、専門的な技術が必要です。
ルーフィングの寿命は20〜30年程度とされており、定期的な点検と交換が大切です。
瓦屋根の雨漏り修理はなぜプロに任せるべきか?

ここまででもわかるように、瓦屋根の雨漏りには多くの要因が絡みます。では、なぜ自分でやるのではなく、プロに任せるべきなのでしょうか?
正確な原因特定ができるから
屋根の雨漏りは、表面を見ただけでは原因が分からないことがほとんどです。
プロの業者は、経験と知識をもとに、雨漏りの発生源を正確に突き止めることができます。
これにより、無駄な工事をせずに、必要な部分だけを効率よく修理できます。
間違った修理で時間やお金を無駄にしないためにも、専門家の判断が大切です。
屋根上の作業は危険が伴うから
瓦屋根の上での作業は、見た目以上に危険が伴います。屋根の勾配は想像以上に急で、瓦は滑りやすく、足元が不安定です。
実際に、DIY中に屋根から落下して大けがをする事故も毎年多く発生しています。
命の危険を伴う作業になるため、個人での対応は極力避け、必ず安全対策の整ったプロに任せましょう。
安全に、そして確実に修理することが、家族や住まいを守る一番の方法です。
間違った修理で被害が広がるから
知識がないまま修理をすると、むしろ状況を悪化させる可能性があります。
一見うまく補修できたように見えても、時間の経過とともに雨漏りが再発し、内部の腐食やカビ、構造の劣化などが進行してしまうのです。
それにより、再修理の費用が跳ね上がり、トータルコストが大きくなることもあります。
初めからプロに任せていれば防げたはずの被害も、DIYでは防ぎきれないことが多いのです。
専門知識と道具が必要だから
瓦屋根の修理には、専門的な工具や資材、知識が必要です。
一般的な家庭用の道具では、適切な施工ができないことも多く、施工ミスによる被害が発生するリスクがあります。
また、下地やルーフィング、構造体に関わる修理になると、見た目だけでは判断できない高度な技術も要求されます。
正しく安全に修理するには、やはり専門の職人の手に委ねるのが安心です。
瓦の雨漏りを放置するとコーキングでも止まらない理由
「少しの雨漏りだから」「面倒だから」と放置してしまう方もいますが、実はそれが一番危険です。雨漏りを放置すると、コーキングでも対処できないレベルにまで被害が拡大する可能性があります。
内部構造の劣化が進行するから
雨漏りが起きたまま長期間放置すると、屋根の内部構造にどんどん水が染み込みます。
最初は小さなシミだけだったのが、木材が腐ったり、断熱材が湿ってカビが生えたりと、次第に構造全体が弱っていきます。
こうなると、もうコーキングでは対応できません。大がかりな修繕が必要になってしまいます。
被害が広がる前に、早めの対処が肝心です。
雨水の侵入口が広がってしまうから
放置している間にも、雨水は屋根のあちこちから入り込み、侵入口が複数に増えてしまいます。
こうなると、どこから水が入ってきているのか特定するのが難しくなり、修理の手間も費用も大きくなります。
1ヶ所なら直せたものが、複数ヶ所になれば修理の費用も数倍に膨れ上がることになります。
小さなうちに止めることが、結果的に最もコストを抑える方法なのです。
被害が深刻になるとコーキングでは対処できないから
雨漏りが進行すると、瓦や下地だけでなく、天井や壁紙、さらには電気配線にまで被害が及ぶこともあります。
そのような状態では、もう表面をふさいでも意味がありません。
家の中のリフォームが必要になるケースもあり、大規模な出費を伴うこともあります。
そうなる前に、適切な対応をとることが重要です。
構造材の強度が落ちてしまうから
木造住宅の場合、水分によって構造材(柱や梁)が腐食すると、建物全体の耐久性が著しく低下します。
それはつまり、地震や強風の際に建物が倒壊するリスクが高まるということです。
「たかが雨漏り」と油断していると、命に関わる深刻な問題に発展することがあります。
構造材は建物の命とも言える部分なので、守るためにも早めの修理が不可欠です。
まとめ|瓦の雨漏りにコーキングしてはいけない理由とその危険性
瓦屋根の雨漏りに対してコーキングを使用することは、思った以上に多くのリスクを伴います。
通気性を妨げ、雨水の通り道をふさぎ、結果として雨漏りが悪化するケースがほとんどです。
応急処置で済ませるのではなく、正しい方法とプロの知識で対処することが、家と家族を守るための最善策です。
少しでも「おかしいな」と思ったら、自己判断せず、信頼できる専門業者に相談するようにしましょう。
この記事が、あなたの大切な住まいを守るための手助けとなれば幸いです。
雨漏り調査、修繕はけんおうリノベーションにお任せください
この記事では瓦の雨漏りにコーキングを使ってはいけない理由などについて詳しくご紹介しました。この記事を読んで、雨漏りの原因調査や修理が必要だと感じた方も多いのではないでしょうか。
雨漏りの調査や修理は、ぜひけんおうリノベーションにお任せください。
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